Power of RED ,LLLT (Low Level Light Therapy) written by 池上秀志

Power of RED ,LLLT (Low Level Light Therapy) written by 池上秀志

LLLT (Low Level Light Therapy)

これまで様々な経口摂取の抗炎症剤を紹介してきましたが(これからも紹介していきますが)、今回は私がお薦めの抗炎症治療器具を紹介します。
それがLLLT (Low Level Light Therapy)と呼ばれる機械です。

LLLT、文字通り低エネルギーの光を照射する治療器具です。通常治療中は何も感じませんが、個人的には効果は超音波以上だと思っています。

LLLTの治療効果のメカニズム

LLLTが痛みを取り除くメカニズムは主に次の3つです。

• 消炎
• 神経ブロック
• 筋芽細胞と骨芽細胞の成長の促進

今から一つずつそのメカニズムを解説していきます。消炎作用に関してですがこれは以前の記事で述べた細胞の正常なプログラム死=アポトーシスに関わるものです。アポトーシスを引き起こすカギを握っているのがミトコンドリアであることも以前に述べました。ミトコンドリアは生物学的な意味での呼吸(酸素を用いてエネルギーを生み出すこと)を司る細胞の中に存在する器官です。エネルギーとはATP(アデノシン三リン酸)のことですがATP(アデノシン三リン酸)を貯蔵することはできません。エネルギーを生み出す時にアデノシン三リン酸からリン酸基を一つ取り出し、ADP(アデノシン二リン酸)とリン酸に分解します。そして体内に貯蔵されているグリコーゲン、脂肪酸そしてわずかに蛋白質を利用してアデノシン二リン酸をアデノシン三リン酸に再合成します。いかに順を追ってより詳しく見ていきます。

ミトコンドリア内膜にある呼吸鎖というメカニズムを電子が通り過ぎることでアデノシン三リン酸を生み出しています。電子=水素イオンが呼吸鎖の中にある複合体Ⅰ、Ⅱ、Ⅳへと流れていき、水素イオンが内膜の外へと汲み出されます。

ミトコンドリア内膜の外側に水素イオンが次々とたまっていくと、ミトコンドリア内膜の内側と外側に濃度や電位に差が生じます。

ミトコンドリア内膜にはおよそ数万個のアデノシン三リン酸アーゼというものがあり、その構造はその中を通って水素イオンが内膜側に戻れるトンネル構造になっています。このトンネル(出入り口)は水車のような形をしています。ミトコンドリア内膜の内側と外側に生じた濃度や電位の差によって水素イオンが外側からミトコンドリア内膜の内側に移動するときにこの水車軸が少しずつ回転し始め、3つの水素イオンが通過すると120度ずつ回転し9つの水素イオンが通過すると一回転することになります。このミトコンドリア内膜にはキノコを反対にしたような装置があり、水車軸が回るたびにアデノシン二リン酸をとりこみリン酸基を一つ足してアデノシン三リン酸を生み出します。これがアデノシン二リン酸をアデノシン三リン酸に再合成するメカニズムです。ヒトの場合、この水車軸が一回転することで9つの水素イオンを使い3分子のアデノシン三リン酸を生み出すことになります。

ところが、このミトコンドリア内膜の外側にある水素イオンを内側に運び込めない状態が生じることがあります。ストレスを受けたり、局所貧血を起こしているミトコンドリアの内部では一酸化窒素が発生し、この一酸化窒素が発生すると、呼吸酵素複合体Ⅲから受け取った水素イオンを呼吸酵素複合体Ⅳに手渡す働きをするタンパク質であり、ミトコンドリア内膜に存在するシトクロムCが働かなくなります。この結果、ミトコンドリア内膜で水素イオンが動かなくなるので、水素イオンはミトコンドリア内膜の内側で滞ってしまいます。水素イオンをミトコンドリア内膜の外側に汲み出す呼吸酵素複合体は電子を受け取りたがり、また次の複合体に電子を渡したがる性質があります。電子を次の複合体に受け渡すためにはシトクロムCが必要ですが、シトクロムCが働かないので電子を次の複合体に渡せなくなります。そうすると、この電子を他の物質に渡す可能性が高くなりますがこの時他の物質として最も考えられ得るのが酸素です。こうして酸素と水素が結びついて過酸化水素というフリーラディカルになり、フリーラディカルを発生させることになります。

こうしてミトコンドリア内部で大量のフリーラディカルが発生した結果、酸化損傷によってDNAに変異が生じると正常な細胞死であるアポトーシスが引き起こされなくなります。正常な細胞死が引き起こされないとネクローシスという炎症を伴う細胞死が引き起こされます。

ミトコンドリア内部のフリーラディカル発生とそれに伴う炎症にはシトクロムCが関与していることを述べてきましたが、LLLTから発生する光線がシトクロムC酸化酵素に吸収されると一酸化窒素を除去してくれ、酸化ストレスを減らし、アデノシン三リン酸の生成量を増加させます。この一連のプロセスによって、炎症の指標となるプログラスタランディンE2、インターロイキン1βと腫瘍ネクローシスファクターαの減少が認められます。

以上がLLLTによる消炎作用のメカニズムです。

神経ブロック

ここからは二番目の神経ブロック効果について述べていきたいと思います。まず痛みのメカニズムについて解説しますが、生理学では、一言で言えばある種の電気信号の伝達にすぎません。私たちの肌、筋肉、骨皮、関節、内臓には侵害性受容器という痛みの受容器が神経線維の末端の神経細胞にあります。もし組織の損傷という危機を感知するとこの侵害性受容器は電気信号としてこの情報を脊髄に送ります。

この時電気信号を送る神経には二種類あり、それがA‐デルタとC繊維です。A‐デルタの方がC繊維よりも速く神経を伝達します。まず初めに脊髄がこの電気信号を受理するわけですが、この時脳は一切関与することが出来ません。熱した鉄板に手を触れた時、反射的に手を引っ込めることが出来るのは(意識しなくても手を引っ込めることが出来るのは)脊髄によって処理されているからです。しかしながら、脊髄で処理される段階では痛覚を生じません。

この後で痛みに関する情報は更に脳へと送られます。まずは意識の扉である視床下部へと送られ、その後3つの異なる領域に神経伝達が送られます。脳内のそれぞれの箇所で異なる方法で処理を施し最終的に痛みとして知覚されます。

LLLTの効果ですが、侵害性受容器における神経線維の移動を中断させることによって警告シグナルを発している組織周辺の神経伝達の量を減らします。上記の作用に基づき、LLLTの照射を繰り返すことで、脳で知覚する痛みを緩和することが出来ます。

筋芽細胞と骨芽細胞の成長の促進
筋芽細胞と骨芽細胞とは読んで字のごとく新しい筋肉と骨を作る働きを持つ細胞のことです。これらの細胞が治癒過程にはものすごく重要になる訳ですが、LLLTの照射はこれらの細胞の成長を促します。これは以下の実験で証明されました。

実験:ネズミの筋芽細胞(C2C12)と骨芽細胞(NIH3T3)をプレートの中で培養する。50%周期で2,5ヘルツ、652nmの波長の光を10分間照射し、コントロール群には照射しない。その後6時間後、24時間後、72時間後に細胞がどうなっているか調べられた。
結果:筋芽細胞の方は6時間後の時点では光線を照射したグループとコントロール群の間に違いは見られなかったが24時間後から光線を照射したグループでは優位に細胞の促進が確認され、72時間後には顕著な細胞の成長の促進が確認された。骨芽細胞の方では6時間後の時点ですでに有意な細胞の成長の促進が確認され、24時間後にはさらにその差は大きくなった。

また同様の実験において、アデノシン三リン酸の生成量とミトコンドリアの呼吸量も調べられました。再三述べているようにミトコンドリアの機能活性は細胞の正常なプログラム死のカギを握り、全ての低度で慢性的な炎症が原因となる疾患及び故障、アンチエイジングのカギを握るものです。結果はアデノシン三リン酸の生成量は両細胞において優位に増加し、ミトコンドリアの呼吸量は筋芽細胞では明らかに増加し、骨芽細胞ではわずかな増加が確認されたという結果になりました。

 

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