低度で慢性的な炎症 written by 池上秀志

低度で慢性的な炎症 written by 池上秀志

低度で慢性的な炎症

前回の記事では、炎症には急性的で腫れ、熱感、発赤、痛みを伴う典型的な炎症と、腫れ、熱感、発赤を伴わず明らかな形では自覚されない低度で慢性的な炎症の二種類の炎症があることを述べました。今回は前回の予告通り後者の低度で慢性的な炎症について述べていきます。
皆さんはこんな疑問を持ったことがありませんか、「人間の細胞って2,3か月で全部入れ替わるって言われてるのに何で4か月とか半年とか故障してたり、走ってるけど痛いっていう状態が続くんだろう?」

低度で慢性的な炎症その理由は

その理由は一言で言えば細胞が正常に生まれ変わっていないからです。細胞死にはアポトーシスとネクローシスという二つの種類のものがあります。アポトーシスの方はプログラム死とも呼ばれており、もともとDNA によってプラグラミングされていて、古くなった細胞が自動的に死に新しい細胞へと生まれ変わるものです。この時炎症は起こらず最後はリンパ球・食細胞が飲み込んで処理してくれます。

一方のネクローシスは傷ついたDNAによってもたらされる炎症を伴う細胞死です。アポトーシスは徐々にアポトーシス小体という小さな細胞に分かれていき最後はリンパ球や食細胞に食べられるのに対して、ネクローシスは自爆のように小さな破片へと破裂していきます。そしてその炎症が更に炎症を引き起こすという連鎖反応が起こります。

低度で慢性的な炎症

アポトーシスを引き起こすカギを握っているのはミトコンドリアDNAだと言われています。そう中学、高校の生物で習った呼吸によって(つまり酸素を用いて)エネルギーを生み出す細胞の中に存在するあの小さな器官のことです。このミトコンドリアDNAが正常に働いていればアポトーシスという正常な細胞死を引き起こすことが出来るのですが、DNAを傷つけネクローシスを引き起こす厄介者の存在があるのです。それがフリーラディカルです。そして故障に付随する炎症と戦っている人は、同様にそれによって余分に生じるフリーラディカルと戦わなければならないという連鎖に陥ります。他にもDNAは細胞の脂質やたんぱく質も傷つけ加齢を促進させる原因となったり、関節炎、動脈硬化、ガン、脳卒中、心筋梗塞の原因となります。

フリーラディカルはウイルスやバクテリア等の細菌を殺すために白血球によっても作られ、また呼吸のたびに作られるものでもあります。しかしながら、人体は酸素をエネルギーにする進化の過程の中で、スーパーオキシドディスムターゼ、カタラーゼ、グルタチオンペロキシターゼのような抗酸化酵素によって無害なものに変えるという適応を遂げてきました。

でも・・・賢明な皆さんのご推察通り話はそう単純には行かないから低度で慢性的な炎症が続く訳ですよね。次回はそのあたりのところをもう少し詳しく説明していきます。

  1. 炎症とは何か
  2. 低度で慢性的な炎症
  3. フリーラディカルとは何か

 

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