炎症とは何か written by 池上秀志

炎症とは何か written by 池上秀志

炎症とは何か

競技者にとって最大の敵ともいえる故障。市民ランナーの人達にとっても足が痛くて走れないという状態ではなかなか人生を楽しめないのではないでしょうか。様々な故障がありますが、痛みの原因となっているのは炎症です。また逆に炎症が故障を引き起こしていると言えるケースも多々あります。疲労骨折でさえも、折れている骨が痛いわけではなく、折れている骨の周囲の筋肉等の組織に炎症が起きて痛みを感じます。あまり薦められることではありませんが、疲労骨折している選手がマッサージや鍼治療によって損傷している骨の周囲の筋肉をほぐしながら練習を続けて骨が固まることがあるのはこのためです。

さて、今回は炎症のメカニズムについて説明していきたいと思います。

炎症のメカニズム

もし走っているときに肉離れを起こすとします。筋肉内での損傷個所に内出血を止めるための血小板や白血球、特にリンパ球、好中球、単球等の免疫細胞が多く送られます。そしてその免疫細胞が傷ついた細胞を掃除し、その残骸を流さなければいけません。そのため患部にはたくさんの血液が流れ込みます。血管や毛細血管が拡張され細胞内部には通常より多くの体液が流れ込み膨張します。そして、神経の末端部を刺激し、痛みを感じるのが炎症であり、この時痛みの他に、腫れ、発赤、発熱を伴います。これが典型的な炎症です。以上に述べたように炎症は治癒の必要な過程の一つです。免疫細胞がきれいに掃除してくれたあとで、再毛細血管化、新しいコラーゲンの成長、正常な細胞の生まれ変わりが始まります。

低度で慢性的な炎症

急性的で発熱、発赤、腫れを伴うような炎症が治癒過程の一つであるのに対し、発熱、発赤、腫れを伴わないような低度で慢性的となる炎症もあります。これは治癒過程には必要ではないだけではなく、この低度の炎症の所為で神経の末端部が圧迫され痛みを感じ脳はより多くの免疫細胞を送るように指示を指し、その結果細胞や血管の膨張が起き、神経の末端部が圧迫され痛みを感じるという負の連鎖に陥ってしまいます。行ってみれば、花粉をウイルスと勘違いしてくしゃみや鼻詰まりをもたらすようなアレルギー反応と同様で、本来ない方が良いものです。実はこの低度で慢性的な炎症はガン、アルツハイマー、心筋梗塞、脳卒中、動脈硬化の原因ともなるもので非常に厄介なものです。

そして実感としては、長距離選手の故障は肉離れやねんざのような急性的なものよりもこの程度で慢性的な炎症が大部分を占めるのではないでしょうか?「走れるけどこの3か月間ずっと膝が痛む」、「足底筋膜炎がもう一年間も治らなくて」、「体が温まると痛くないけど、走り始めと走り終わった後が痛いんだよなぁ」こんな人あなたのまわりにいませんか?あるいはあなたがそうかもしれません。次回はもう少し詳しく説明していこうと思います。

  1. 炎症とは何か
  2. 低度で慢性的な炎症
  3. フリーラディカルとは何か
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